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「どうしてあなたは寄付をしないの? うちの職場で、いえ、このオフィスビルのこのフロアで、慈善団体に寄付をしていないのは恐らくあなた独りだけだわ」 「なぜ寄付をしないのかって? どうして僕が僕自身のために僕自身の手によって稼いだ金を、見ず知らずの誰かがただ食うためだけにくれてやらなきゃいけないんだ?」 「なんてことを言うのかしら。そんな、お金なんて概念上のものじゃないの。そんなものに固執して人間らしさを失ってしまうなんて、あなたは可哀想な人」 「人間らしさ? だとしたら僕は、毎晩その食うに困った子供たちのために祈りを捧げてやるし、二日に一回くらいは涙だってする。僕が僕の人生をコントロールすることをどうして君に邪魔されなきゃいけない? 君には何の権利があって、僕が生きるための糧をどこかへ放り投げようとするんだ」 「ああ、可哀想な人、ああ、可哀想な人」 「それでも君は金を寄越せというのか。人間らしさだの慈善だの綺麗な文句を並べておいて、結局金を払わなきゃ僕は何もしていないのか。祈りも、涙も、人間らしさじゃないのか。概念上の金なんてものに固執してるのはどっちだ、よっぽど君の方じゃないか、くそったれ!