「後悔することってある?」
彼女の言葉はいつも突然で、そのときも僕は普通にドライブを楽しんでいるつもりだったのだけれど、どうやら彼女はそういうことで悩んでいたらしい。目の前をゆっくりと走るトラックから注意を逸らさずに、ハンドルを握りなおして言葉を返す。
「しないことはないよ。しっぱなしでもないけど」
しばらく黙り込んだ後、思い詰めた様子で一言。
「今日ね、別の男の子にも誘われてたんだ」
彼のことは嫌いではないけれど、二人でどこかへ遊びに行くような気は今のところ自分にはないし、もしそうして相手に勘違いさせるようなことがあっては申し訳ないし、何より自分も自分の身を守るなんてことを考えなきゃいけなくなるかも知れない。だから今回は彼からのお誘いは丁重にお断りして、前から約束のあったドライブへ出かけることにしたけれど、そういえば恋人でもないあなたとこうして二人で出かけるなんて、彼が知ったらどう思うだろう。彼女は、そんなことを矢継ぎ早に口にして、また黙り込んだ。
「僕は」
ため息をつく。
「今君が僕に話したこと、どうにかしてたら聞かないで済んでたんじゃないかって、そのことを今後悔してる」