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最後に笑えばいいのだ。最後に笑えばいいのだ。結果としているべき場所にいられるのであれば、その間の不遇だなんてものは、大した問題ではないのだ。私は私を勇気付けることができるし、その結果、その場所へたどり着くことだってできることを知っている。
「……でも」
パーフェクトなことなんてありはしないことだって、わかっている。私は、私が折れない人間である、だなんて、たったの一度だって思ったことも、望んだこともない。
「死んだよ」
さもそれが何でもないことかのように、彼は、ぽつりとそれだけつぶやいた。僕は彼から目を逸らすことができずに、そうしてしまうことで彼の言動や態度や何から何まで全て赦して、許容してしまうような気がして、僕は彼から目を逸らすことができずに、ただ立ち尽くして次の言葉を待つのみだった。
「死んだよ。何だかとっても、簡単に」
僕は、彼から目を逸らすことができないまま。
「だって、あんたが悪いんじゃないか」
彼の言葉は何の迷いもなく、戸惑いもなく、私もそのようにできればどんなにか気分が晴れるだろうか、と、少しだけ考えさせてくれた。
「そうね、私が悪いんだわ」
「もしもそうなったとしたって、何も悲しいことなんてないさ」 「そうね。少し滑稽なだけだわ」
「だとしたら君は、仕事だと言って押し付けられれば何でもこなしてやろうというのかい。例えば君の上司が悪事を働かせようとして、君はその片棒を担ぐような真似をしてしまうのかい」 「それより何より、君は君に悪事を働かせようとするような人物を、自分の上司として認めちまってるのかい?」
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